2015.12.03更新

記事を掲載していきます。

投稿者: 中山・辻・加藤法律事務所

2015.05.13更新

 今回は、秘密証書遺言の作成方法とその注意点について説明をします。秘密証書遺言の方式については、民法970条に規定があります。

1 遺言を作成し、作成した遺言に署名・押印する
    遺言書は、自筆でなくても構いません(代筆してもらっても、パソコンで作成しても有効です。)。ただし、自筆証書遺言としての要件を欠く場合であっても、自筆証書遺言の要件を満たしている場合には自筆証書遺言としての効力が認められることになりますので(民法971条)、自筆で書いておいた方が良いでしょう(自筆証書遺言の書き方については、「相続の基礎知識32」を見て下さい。)。
    署名は必ず自分で書く必要があります。
    押印は実印でなくても構いません。
   
2 遺言書に封をし、遺言書に押印したものと同じ印鑑で封印する
    必ず遺言書に押印したものと同じ印鑑で封印する必要があります(違う印鑑で封印すると、秘密証書遺言としては無効となってしまいます。)。
   
3 公証人一人、証人二人以上の前に遺言書(封書)を提示して、自分の遺言書であること、自分の住所・氏名を述べる
    公正証書遺言(「相続の基礎知識33」参照)と同じく、①未成年者、②推定相続人、受遺者、推定相続人や受遺者の配偶者及びその直系血族、③公証人の配偶者、四親等以内の親族、書記、使用人は、証人になることができません(民法974条)。
   
4 公証人が、3の手続をした日時・遺言者が述べたことを封書に記載し、遺言者、証人とともに署名・押印する

5 検認手続を受ける
    相続が開始した(遺言者が死亡した)ら、秘密証書遺言の保管者や、秘密証書遺言を発見した相続人は、遅滞なく家庭裁判所に届け出て検認手続を受ける必要があります。家庭裁判所において相続人またはその代理人が立ち会わなければ、秘密証書遺言を開封することはできません(民法1004条)。

投稿者: 中山・辻・加藤法律事務所

2015.05.11更新

 今回は,公正証書遺言の作成手続について説明します。
   公正証書遺言については,民法969条から969条の2に規定があります。

1 公正証書遺言は,次のようにして作成します。
 ① 証人2人以上の立会のもとに,遺言者自身が遺言の内容を口頭で述べて(遺言者が口がきけない者であるとか,
耳が聞こえない者であっても民法969条の2の特則があるため,公正証書を作成することは可能です。),公証人がそれを筆記した上で,筆記したものを遺言者及び証人に読み聞かせをする。
        なお,次の者は,証人とはなれない点に注意が必要です(遺言が無効になってしまいます。)。
        すなわち,(1)未成年者,(2)推定相続人(遺言者が死亡すると当然に相続人となる者),受遺者(遺言によって遺贈を受ける者)やその配偶者及びその直系血族,(3)公証人の配偶者,4親等内の親族,書記及び(民法974条))
    ② 次に,遺言者及び証人がその筆記の正確であることを承認した後,各人が署名・捺印をする。もし,遺言者が病気等の理由で署名できないときには,公証人がその理由を付記して署名に代える。
    ③ 最後に,公証人が上記手続によって証書が作られたものであることを付記して,署名・捺印する。
     このような手続で公正証書を作成すれば,公正証書遺言が成立します。

2 もっとも,実際は,公証人が手続についてよくわかっているため,遺言者としては,遺言の内容をはっきり決めて述べることができれば,実際の手続は公証人の方でやってもらえます。
     なお,通常,公証役場に行って作成しますが,遺言者が病気などで公証役場に行けない場合には,費用は発生しますが,公証人に自宅や病室にきてもらって作成することもできます。

投稿者: 中山・辻・加藤法律事務所

2015.03.31更新

今回は自筆証書遺言について説明をしていきます。
1 自筆証書遺言の書き方
    これは民法968条1項にて規定されています。
    民法968条1項によると、自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない、とされています。この「全文」「日付」「氏名」「押印」は1枚もしくは1綴りの紙面の中になされることが予定されています。
2 自筆証書遺言作成上の注意点
 (1) 全文自書
   全文自分で書くことが必要となります。代筆は認められません。ワープロで作成することも出来ません。録音、録画によるものは認められません。
      カーボン紙を用いて複写の方法で記載することは自書の方法として許されないものではありません(最判平5.10.19)。
 (2) 作成日自書
   「平成(西暦)○○年○○月○○日」と自書して下さい。「昭和四拾壱年七月吉日」と記載された証書は日付の記載を欠くものとして無効とされた判決があります(最判昭54.5.31)。
   遺言書が複数存在する場合、後の遺言が最終意思となり、前の遺言は後の遺言によってその部分が撤回されたことになります。また、遺言がなされた日付で遺言者の意思能力の有無が判断されることもあり、日付の記載は極めて重要な要件です。
 (3) 氏名の自書
   氏名の自書が必要です。つまり署名をして下さい。できるだけ本名の氏と名で署名することが安全です。
   しかし、必ずしも戸籍上の本名である必要はなく、氏名を併記する必要もありません。通称、雅号、芸名などでも良いです。遺言者が何人であるかにつき疑いのない程度の表示があれば足りるのです。ただし、この場合、同一性を確認出来るようにするため住所を記載すべきです。
 (4) 押印
   押印は、実印である必要はなく、認印でも良いです。名下に押印をして下さい。
      指印でも押印として有効との判例もありますが(最判平1.2.16)、反対意見もあるので避けた方が良いでしょう。
      遺言書本文を入れた封筒の封じ目にされた押印をもって自筆証書遺言の押印として有効とした判例もあります(最判平6.6.24)。
      手の震えを押さえるための添え手による押印も有効です。
 (5) 自筆証書遺言の加除その他の変更
      民法968条2項より、遺言者が①変更した場所を指定し、②これを変更した旨を付記し、③特にこれに署名し、④かつ、変更した場所に印を押す、という4つの要件を満たす必要があります。
   変更の仕方が厳格に定められてるため、変更があれば全文書き直した方が無難と言えます。
      具体的には、加入の場合は{ の印を付けて加入文言を記載し、削除・訂正の場合は原文が判読できるように二本線で消して、正しい文言を記載します。変更した箇所に、遺言書にて押印した印鑑で押印する。変更した部分の欄外又は末尾に「本行○字加入○字削除」というように付記する、などが変更方法の一例です。
 (6) 検認手続
   相続の基礎知識31にも記載されているとおり、自筆証書遺言書の保管者や、これを発見した人は、相続の開始を知った後遅滞なくこれを家庭裁判所に届け出て検認手続を受けなければなりません(民法1004条1項)。
   封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会がなければ開封することは出来ません。(民法1004条3項)。

投稿者: 中山・辻・加藤法律事務所

2015.02.26更新

31 遺言にはどのような方式があるのでしょうか。また、方式ごとの長所と短所について述べてみます。
 通常の方式による遺言には、①自筆証書遺言(民法968条)、②公正証書遺言(民法969条、969条の2)、③秘密証書遺言(民法970条)があります。特別の方式による場合を除いて、遺言はこれらの方式によって作成されなければなりません(民法960条、民法967条)。

① 自筆証書遺言
遺言者が、遺言の全文、日付、氏名を自書し、押印することで作成できます。
長所
・ 最も簡単に作成できる遺言で、費用もかかりません。
・ 一人で作成できるので遺言の存在自体を秘密にできます。
短所
・ 紛失や偽造、書きかえられる危険があります。
・ 遺言として法律に定める要件を満たしていなければ効力が認められないため、作成の際には注意が必要です。
・ 自筆証書遺言については、「検認」という手続きによって家庭裁判所に遺言の存在とその内容を確認してもらわなければなりません(民法1004条1項)。この手続きを経ずに遺言の内容を執行したり、開封すると、5万円以下の過料に処されます(民法1005条)。

② 公正証書遺言
遺言を公正証書として作成する方式です。公正証書とは、その内容を公に証明する効力をもった文書で、その作成権限をもつ公証人(法務大臣が任命し、法務局に所属する)に作成してもらいます。具体的には、証人2人以上の立会いのもとで、公証人に遺言の内容を伝え、公証人がそれを筆記する方式で作成されます。
長所
・ 公証人の前で作成されるので、偽造等の危険はありません。
・ 原本は公証役場に保存されますから、紛失の危険もありません。
・ 公正証書による遺言については、検認の必要がありません(民法1004条2項)。
短所
・ 証人・公証人に遺言の内容が知られてしまうこととなります。
・ 手続きが煩雑であり、公正証書を作成するため費用もかかってしまいます。

③ 秘密証書遺言
遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に、あらかじめ作成・封印した遺言書を提出して行う方式の遺言です。
長所
・ 遺言の存在は明らかになりますが、遺言の内容は秘密にすることができます。
短所
・ 封をしてある遺言が要件を満たしていない場合は無効となってしまいますから、これも作成の際には注意が必要です。
・ 公正証書遺言と同様に手続きが必要となり、費用もかかります。
・ 自筆証書遺言と同様に検認を受ける必要があり、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ開封することができず(民法1004条3項)、家庭裁判所外で開封してしまうと5万円以下の過料に処されます(民法1005条)。

投稿者: 中山・辻・加藤法律事務所

2014.12.24更新


 1 前々回、前回については、遺言により法定相続人以外に遺産を分配すること、法定相続分とは異なる割合で遺産を相続させ 
  ることができることを説明しました。
   これら以外に遺言でできることはあるでしょうか。

 2 民法には次の10種の行為が遺言によりすることができると規定されています。
①認知(民法781条2項) ②遺贈(同964条)と寄付行為(同41条2項) ③後見人の指定(同839条)と後見監督人の指定
  (同848条) ④相続人の廃除および廃除の取消し(同893条、894条) ⑤相続分の指定また指定の委託(同902条) ⑥遺 
  産分割方法の指定または指定の委託(同908条) ⑦遺産分割の禁止(同908条) ⑧相続人相互の担保責任の指定(同  
  914条) ⑨遺言執行者の指定または指定の委託(同1006条) ⑩遺贈減殺方法の指定(同1034条)となります。
 

 3 このうち②と⑤については前々回と前回にご説明したものとなります。
そのほかのものについて簡潔に説明します。
①については、その文言のとおり認知をすることとなります。
③については、未成年者に対して最後に親権を行う者が未成年後見人や未成年後見監督人を指定することとなります。
⑤については、その文言のとおり推定相続人に対する廃除の意思表示やその取消しになります。
⑥については、法定相続分は動かさないものの、不動産を換価して分割するなど、遺産をどのように分割するかを指定し、ま
  たはその指定を第三者に委託するものとなります。
⑦については、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁ずることができるものとなります。
⑧については、民法911条~913条に共同相続人間の担保責任が規定されていますが、遺言によりそれとは異なる意思表
  示をすることができるものとなります。
⑨については、その文言のとおり、遺言執行者の指定やその指定を第三者に委託するものとなります。
⑩については、遺留分減殺請求についての遺贈における減殺の割合はその目的の価額の割合に応じたものであるところ、そ
  れを遺言により指定するものとなります。
 

 4 上記のものが、民法に規定された遺言においてできる事項になります。
もっとも、遺言においてできる事項はこれらに限られず、生命保険の受取人の変更(保険法44条)を行うことも可能です。
 ただし、これについては保険契約者の相続人がその旨を保険者(保険会社)に通知しなければこれをもって保険者(保険会社)に対抗することができませんので、その点は気を付ける必要があります。

以 上

投稿者: 中山・辻・加藤法律事務所

2014.10.08更新

 前回に引き続き、どのような場合に遺言を作った方が良いかという点についてお話していきます。

 前回、「法定相続人がいない場合」や「法定相続人がいても他の者に遺産を渡したいとき」には遺言を作成した方が良いとのお話をしました。

 では、法定相続人だけに相続させる場合には、遺言を作る意味はないのでしょうか。

 遺言がない場合、民法で定められた相続人(法定相続人)に、民法で定められた配分(法定相続分)で遺産が配分されることになります(もっとも、相続人全員の協議によって、法定相続分と異なる遺産分割をすることはできます。→「相続の基礎知識20」参照)。
 民法で、社会通念上妥当と考えられる配分(法定相続分)が定められているわけですが、被相続人としては、相続人の心身の状態・職業・収入など個々の事情に照らして、法定相続分とは異なる割合で相続させたいと考える場合もあります。

 このような場合、被相続人が相続させる割合を遺言によって決めておくことができます。つまり、遺言によって、法定相続分とは異なる割合で法定相続人に財産を相続させることができるのです。

 ただし、法定相続人のうち一定の者については、遺言によっても奪うことができない遺留分という権利があります(民法1028条以下)。遺留分を下回る財産しか相続させない旨の遺言を作成したとしても、遺留分権者がこれを主張する場合には、遺言の内容どおりの配分に相続させることができませんので注意が必要です(遺言によって遺留分を奪うことはできません。)。

投稿者: 中山・辻・加藤法律事務所

2014.09.30更新

1 今回からは,何回かにわたって遺言についてお話したいと思います。

    まず,遺言ですが,世間一般には「ゆいごん」と読まれますが,法律用語では「いごん」と読みます。さらに,余談ですが,同じく競売は「きょうばい」ではなく「けいばい」と読みます。
    話を戻しまして,今回から,遺言の話のうち,どのようなときに遺言書を作った方がよいかという点についてお話をしていこうと思います。

2 まずは,法定相続人がいない場合です。

    このように法定相続人なく死亡した場合,残された遺産(相続財産)は相続財産法人となり,その後,相続財産管理人により負債があれば弁済され,さらに特別縁故者からの請求があればその者への分与がなされた後に,最終的に残った遺産(相続財産)は国庫に帰属することになっております(民法951条~959条)。
    そうすると,自分の人生の最後の時期に世話をしてくれた人(あるいは施設等の法人など)に対して感謝の気持ちから自分の財産を譲り渡したいと思った場合でも,その人が特別縁故者として請求をし裁判所に認められない限り(いい人は得てしてそのような請求をしない場合があります。),自分の財産は国のものになってしまうのです。
    この場合,必ず財産を譲り渡したい人に財産が渡るようにしたいのであれば,遺言を作成することをお勧めします。

3 次に,法定相続人がいても他の者に遺産を渡したいときです。

    法定相続人がいる場合には,遺言がなければ,自分の遺産は法定相続人にしか相続されません。
    そうすると,例えば,妻が死亡した後,新しい女性と出会い実質的には夫婦同様にその女性と暮らしてきたが,子供たちの手前籍までは入れてなかった場合など,いかに内縁の妻に自分の財産を残したいと思っても,遺言がなければ法定相続人である子供たちにしか遺産は渡らないのです。
    この場合,内縁の妻に対して遺産を遺贈する旨の遺言をしておけば,確実に内妻にも自分の遺産を渡すことができます。
    ただし,法定相続人のうち一定の者については,遺言によっても奪うことができない遺留分という権利がありますので(民法1028条以下),遺留分権者が反対した場合,すべての遺産を法定相続人以外の者に渡すことはできません。

投稿者: 中山・辻・加藤法律事務所

2014.08.27更新

相続の基礎知識27

1 限定承認の意味
  限定承認とは、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済するという条件付きで相続を承認する意思表示(民法922条)です。
2 どのような場合に限定承認をすれば良いのでしょうか。
  限定承認の制度は、相続財産が債務超過で相続人が相続により多額の債務を負うことになるような場合に相続人を保護するための制度です。このような場合に、民法上認められたもう1つの制度として、相続放棄(22、23参照)という制度があります。
    では、相続財産が債務超過である場合、相続放棄と限定承認どちらの制度を利用するのが良いのでしょうか。原則的には限定承認は後述のとおり手続が複雑ですので、限定承認をするだけのメリットが相続人にある場合以外は相続放棄を選択するのが良いと思われます。具体的な事情によりけりですので、どちらの制度を利用するのが良いのか迷われる場合には専門家にご相談されるのが良いでしょう。
3 では、限定承認をするにはどのような手続が必要となるのでしょうか。
  通常3ヶ月間の熟慮期間(22参照)内に相続財産の目録を作成して、被相続人の住所地又は相続開始地の家庭裁判所に提出し、限定承認する旨の申述書を提出しなければなりません(民法924条、家審規99条)。
  相続人が複数人いるときは、限定承認は相続人の全員が共同してしなければなりません(民法923条)。
4 限定承認がなされた後の手続はどうなるのでしょうか。
    限定承認がなされると、相続財産から、被相続人の債務及び遺贈に対する弁済がなされることになります。そのため、まずは相続財産の管理と清算が行われることになります。
    限定承認をした相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって相続財産の管理を継続しなければならず(民法926条)、共同相続の場合で、相続人が複数人いるときは、家庭裁判所によって相続人の中から相続財産管理人が選任されます(民法936条)
    そして、限定承認をした相続人(共同相続の場合は相続財産管理人)は、限定承認をした後5日以内(共同相続の場合は、相続財産管理人が選任された日から10日以内)に、全ての相続債権者及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び2ヶ月以内にその請求の申出をすべき旨の公告を行います(民法927条1項、936条3項但書)。知れている債権者及び受遺者には各別に催告をしなければなりません(民法927条3項)。
    公告期間満了後、限定承認をした相続人(共同相続の場合は相続財産管理人)は、相続債権者に債権額の割合に応じて相続財産から弁済し、その後に受遺者に弁済することになります(民法929条、931条)。弁済に際し相続財産の換価を要するときは、原則として競売することになります(民法932条)。
5 相続の限定承認はいったんこれを行ったら、熟慮期間中であっても撤回することは出来ません(民法919条1項)。そのため慎重に決断を行う必要があります。ただし、詐欺や脅迫(民法96条)によって承認した場合は、これを取り消すことが可能です。その場合には、家庭裁判所への申述によって取消をすることになります(民法919条2項、4項)。

投稿者: 中山・辻・加藤法律事務所

2014.07.25更新

 26 相続の承認の仕方として単純承認と限定承認があるとのことですが、
  まず、単純承認とはどういう場合のことをいうのですか。
 1 まず、被相続人が亡くなって相続が開始すると、相続人は、相続開始の
  時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継することになります
  (民法896条)。しかし、一切の権利義務のなかには、借金などの債務も
  含まれます。受け取る財産より借金のほうが多ければ、相続するのをやめ
  る(放棄)ことも選択枝の一つと相続人に与えるべきであり、民法は、相続
  放棄の手続きを認めています。相続放棄の内容は、既に22や23で述べ
  ていますので参照ください。 さらに、相続を承認する場合でも、民法は、
  被相続人の権利義務を無限に承継する単純承認(920条)と、相続によ
  って得た財産の限度でのみ被相続人の債務などを弁済するという条件で被
  相続人の権利義務を承継する限定承認(922条)の2種類を用意してい
  ます。
 2 通常、3ヶ月の熟慮期間(3ヶ月の間に調査ができなければ、家庭裁判
  所に熟慮期間を延ばしてもらうこともできます)に、どの程度の財産と負
  債があるか判る場合が多いので、そのまま相続するか、相続放棄をするか
  を選択し手続きを進めていく場合が圧倒的です。そして、そのまま相続す
  る場合のことを、単純承認と言うのです。その場合には、財産も取得する
  代わりに借金など負債も支払う義務を負うことになります。
 3 単純承認で特に注意しなければならないことは、つぎのようなことがあ
  れば単純承認をしたものとみなされてしまうことです(民法921条)。
  ア 相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき(保存行為などは
   別)
  イ 相続人が熟慮期間内に限定承認または相続放棄をしなかったとき
  ウ 相続人が、限定承認または相続放棄をした後に、相続財産の全部また
   は一部を隠匿したり、消費したり、わざと相続財産の目録に記載しなか
   ったとき
   実際、どのような場合に単純承認とされてしまうのかについて、これま
  で裁判で争われた例もあり、迷われたら専門家にご相談されることをお勧
  めします。

投稿者: 中山・辻・加藤法律事務所

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